私たちがペットショップで購入した愛犬の親は
この中で一生を過ごしている

動物と暮らすことを決めた時、日本では今のところ「ペットショップ」で購入するのが一般的です。
ペットショップで殆どの人が生後2ヶ月程度の好みの犬が手に入り、その子がどんな所で生まれどんな風に暮らしていたか、お母さんやお父さんはどうしているのか、そんな事を気にする事もなく楽しく過ごすことができるでしょう。
しかし、子犬達は皆必ず購入者が現れて、幸せな暮らしを約束されているのでしょうか。

もし売れ残ったらどこへ行くのか...。
そして彼らのお父さん、お母さんがどんな暮らしをして、どんな扱いを受けているのか私たちは知りません。
でも少し考えてみると、多犬種を扱う繁殖業者が1種類の犬種を何頭も飼育しているとは考えにくく、
当然、同じ犬に何度も何度も生ませていることが想像できます。

繁殖業者の中には病気でも治療もせず、餓死しようが苦しんでいようがおかまいなし。
使えるとこまで使う、という「子犬生産機」のような扱いをしている問題のあるところが沢山あります。
ペットショップで購入して連れ帰ってすぐに病気が発覚した、または問題行動、異常な攻撃性、などに悩むことも多々あります。
犬の繁殖は大変難しく、犬種によっては先天性の病気が発生することも多いです。
乱繁殖の結果、病気や問題行動に悩み、捨てられる犬も少なくありません。

以前入った崩壊した繁殖場の現実に、私たちは心を痛め、ショックを受けました。
子供を産むためだけに生かされている犬達の多くは奇形でした。奇形に生まれたから繁殖用にされたのでしょう..
もう10歳を過ぎている犬もありました。目には光がなく、感情を表す事もなく、楽しい生活を知る前に彼は逝ってしまいました。
十年間もの間、誰かを癒すために、誰かを儲けさせるためだけに、生きて..いえ、生かされてきた犬達。

私たちなら耐えられるでしょうか。

でもここが特別なのではない、ここは氷山の一角にしか過ぎないのです。

私達がペットショップで購入した愛犬の親はこの中で一生を過ごしている……..

私たちに出来ること
苦しむ小さな命をひとつでも減らすために、私たちが出来る事はなんでしょうか。
今、日本では人間の子供の数よりペットの数が多いという時代になり、小さな命は確実にあまっています。
その中で救える命は限られています。
行政も民間ボランティアも必死になって活動していますが、蛇口を閉めない限りは同じ事の繰り返しです。
この現実は私たち愛犬家が作り出しているのですから、私たちには知る義務があると思うのです。
そして、1人が3人に、そしてまたその人が3人に伝え続けていくことで、少しずつでも変わっていくと希望を持ちましょう。

■具体的には■

動物と暮らすことを決める前に本当に責任をもって十数年間世話をし続けることができるか家族でよく話し合い、決めてください。
動物は生きています。性格もあります。思った通りにならないこともあります。
それでも投げ出さずに最期の時まで家族の一員として世話ができるか想像してみてください。

ペットと暮らしたい!と思ったら、まずは里親になる選択肢もあることを思い出してください。
あなたとの出会いを待っている動物が必ずいます。あなたが手を差し伸べればひとつの小さな命が救われます。
彼らはきっと、あなたに素晴らしいメッセージをくれる事をお約束します。

ペットショップで動物を買おうとする人に会ったら、勇気を出してそこにいる子犬の親たちがどんな境遇にいるのか話をしてあげてください。
この現実を止めるにはペットショップで動物を買うことをやめる以外にありません。
そしてペットの里親になる手段があることを知らせてあげてください。
各地域の動物管理センター(動物愛護センターなど名称は様々)での譲渡会や多数のボランティアが里親を募集しています。

インターネットで検索できる里親募集ページです
・「いつでも里親募集中」 https://satoya-boshu.net/
・「環境省の収容動物検索サイト」 https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/shuyo/

自分の犬は絶対に逃げない、などと思わずに鑑札・迷子札をつけてあげてください。
迷子で捕獲され飼い主が分からなければ1週間から2週間ほどで殺処分されてしまいます。
雷に驚いて脱走したり、異性の臭いに刺激され出てしまい事故にあったり、放浪しているところを捕獲され殺処分される犬も少なくありません!!

望まれず生まれてくる命がこんなにも多い事を真摯に受け止め、不妊・去勢手術をしましょう。
異性を求めての脱走や病気・ストレスなどの予防にもなります。

あなたが飼っている家族を生涯大切にしてあげてください。実はそれが一番大切です。
皆がそれをしてくれるなら捨てられ殺されてゆくペットは存在しないのだから・・・